観劇ブログ(雑記ちゃん)

かなり個人の見解です!

2023年中盤の観劇を振り返る (2023/6~8)

最近見た公演の感想をつらつらとメモです。

 

 

■6月 月組公演 ミュージカル『DEATH TAKES A HOLIDAY』 潤色・演出/生田 大和

→配信で視聴。

月組、芝居上手いわ歌上手いわで大満足。レベル高い!!!れいこちゃんの人間離れした美貌とクラゲの芯から品のある美しさがこれでもかとマッチしていて良かった。意外にもれいこちゃんの「美しさ」が前面に押し出された作品が勿体なくも少なかったものだから、これは本当に見たかった「月城かなと」だった!

れんこん、るね、りり、歌うまが海外ミュらしく抜擢。珍しくりりがきよらさんよりも活躍していたけど、ダンスシーンは努力が見えてかっこよかった。れんこんときよらさんの恋愛模様も最後にきゅんとする感じで最高!ヤスをはじめとしたキャストも大健闘…一点だけゆの君の使い方、勿論十分にうまくこなしてはいたものの、やはり少し荷が重いというか当然父親役にはまだ早く、前半のコメディなのかシリアスなのか振り切りづらいところに役どころの苦悩を感じた。ちなつのほうが適任だっただろうがこれは仕方ない。みちるも割を食った役で少し悲しかったけど、こういう役を任せられるというみちるの実力に感服。

 

 

■7月 雪組公演 ミュージカル・ロマン『Lilac(ライラック)の夢路』-ドロイゼン家の誇り- 作・演出・振付/謝 珠栄

→ものすごい突っ込みどころが多い作品、賛否両論も納得。

・あらすじの整理

ハインドリヒと兄弟は鉄道事業を進める。末っ子の紹介でヒロインエリーゼとアントンと出会うも末っ子は亡くなる。鉄道事業の融資を受けれるかの条件であるディートリンデとの結婚を巡り、ハインドリヒと次男フランツがトラブル。突然父親に隠し子のうわさ!体の弱い母が家族を託した女性(移民、外国人)が更に子供を産んでいた、が迫害に合っていた…それがアントンでした!思いつめたディートリンデが人を使ってエリーゼらを襲撃、フランツがもみ消すも別れを告げる…融資も足りない…八方ふさがりの中エリーゼがディートリンデの金で融資不足を解決!ハインドリヒと次男フランツがそれぞれハッピーエンドへ~大団円。

・良かった点

各場面のとにかく画がきれい。ゲオルグ関係は全てかっこいい。特に冬のデート場面の和希そらとかすみさんのシーンなんてずっと見ていたいくらい可愛かった。兄弟も楽しい、特に最後のあがた加入までのいじらしさに震えた。美穂さんのシーンでは泣いた。

そして推しの野々花ひまりちゃんの演技、そしてあーさとの芝居が萌え、、面白過ぎた!ギミックが面白過ぎる…!例えば、ショールを落としたディートリンデと暗転した後、真面目なあーさが次の日要人との会議に遅刻するとことか…!とにかくディートリンデは単なるわがままな悪役令嬢ではなく、自分の本質的な部分に自信がない故に人を試しがちな悲しいキャラクター。フランツも全てを投げ打ってまで愛しているくせに…この男、ディートリンデに私を愛しているの?(意訳)と聞かれて「どうかな?」とはぐらかす…!イケメンな顔面でごまかされがちですが、婚約もせずに関係を持ち、僕は他の人と違って君を愛している!家柄がなくとも君を愛している!兄には渡さない!と真摯に伝えれば良かったものを、こちらも兄にコンプレックスを抱いた男なので、上手く差配できず、結局あのような事態に…笑 ディートリンデはフランツに何度もチャンスを与えているのに…笑

はてなポイント(主に全てが突然)

ヒロインの服装が豪華なのにそこまで裕福そうな家ではない、のにピアノの習う余裕はある。

弟の具合が悪いのに街で連れまわされる(そして間に合わない)

ヒロイン、急に葬式で親族席に座っているような感じ(ディートリンデが不愉快になるのも当然になるぐらいの距離感)

ヒロインがオーケストラのオーディション落ちる、私が女性だから…→なんやかんや私たちめっちゃ気が合う!付き合おう!の流れ笑

夢人のセリフが難しすぎる(リフレインしない)

・主題は?

美穂さんパートであったように女であることや外国人であること等、いわれのない差別に苦しんだすべての人間の怨念のようなものがベースにあり、それにヒロインたちは飲み込まれずに明るい将来を描き出そうとし、彼女が守り切ったアントンもその幸せの輪に入れたという落としどころだと思います。

エリーゼは女性だという理由で臨んだ職業につけず、男性社会に抗戦する気持ちを持つ→それに理解を示す理想のパートナーハインドリヒ、でも違う方法もあるんじゃない?とすごい合理主義(げんようの谷のラストの地を捨てるシーンと同じような感覚)→ハインドリヒ資金不足に悩む→エリーゼがディートリンデの鉄のアクセサリーを買い取る建前で出資。駒のように生きてきた彼女たちは男性と同じ社会に参画して一矢報いたという流れかと思います。傷心ヒロインに夢を変えてみたら?とちょっと無慈悲(たまたまヒロインが芸術家になりたい訳ではないからこのアドバイスはセーフだったけど、普通は芸術の道を究めたい人にこれは禁句だよね)なハインドリヒ…(7ディートリンデがフランツと関係を持っていることに気付いているからだとは思うけど)はなから全然取り合わないハインドリヒ…、完璧で素晴らしい長男も二人の女性の助けなくしては夢を実現できないシニカルなエンドをあまりあるラブロマンスで帳消しにするヅカらしいエンディングパートで楽しかった。…なんでか結局面白かった、この作品。笑

 

ファッシネイト・レビュー『ジュエル・ド・パリ!!』-パリの宝石たち- 作・演出/藤井 大介

→グランカンタンテを思い出した。正直こう萌えポイントのないまま単調?というか巴里と銘打っておきながら落ち着いた展開で進む。これはこれで好きな人も一定数いそうな穏やかな感じ。

モンパルナス芸術の街(あーさひまり)の場面は溌溂としていて爽やかで良かった。萌えすぎてオペラが下がらない。巴里なのにエジプトがあり、そらの華やかな場面に男役あの縞々頭の飾り不要に感じた。咲ちゃんのドーファン素敵!夢白さんはポージングがセンスがある。ノートルダムのありすひめかは一人大抜擢。あとサンジェルマンはさすがに見ごたえがあった。クラシックとモダンの分け方も面白い…咲ちゃんは全ての場面で衣装もメイクも髪も創意工夫が見られて本当に素敵で情熱が見えてかっこいいなと改めて思いました。だから夢白さんはメイクをもっと咲ちゃんに合わせた方がいいかも。元々かっこいいゴージャスな顔だから咲ちゃんが余計女性的に見えてしまっている気がする、、もっと優し気な色味にした方がカップル感が出る気がする。そしてデュエダンが強めの衣装ながら穏やかな踊り過ぎたので次回に期待。

 

■7月 ムーランルージュ

→帝国劇場にてだいもん×芳雄を二回観劇(違いはロートレック上川さんか上野さんか)若く才能あふれる男が息も絶え絶えながらに気高く美しくステージに立つ女性に恋をする話。やはり芳雄には「若さ」はないがそこはあまりある技術力、巧さでカバー。こののち初演は「芳雄」と語り継がれるような素晴らしい歌声だった。だいもんはドリームガールズの比じゃないぐらい歌も高音が出ていて、スターのオーラがただ者ではない輝きで満ちていた、ステージを一人の存在感で埋めるということに抜群に慣れていて(ただ上手いだけではない技術)、弱っていくサティーンの展開の対比が見事で…もうだいもんファンにはおなじみの悲劇は十八番すぎて大拍手だった。ロートレックは上川さんの方が頑固で芸術家一直線な感じ、上野さんは周りに優しい中でも芯があるような違いだった。

今後キャストが変わってもこれを超える演者は出ないのではないだろうか…若くて歌の上手い女優さんはたくさんいらっしゃる(木下さんとかきほちゃんとか)けど、あの年齢とキャリアでステージをあれほど煌めくダイヤモンド色に染め上げる方というのはこの時代には本当にだいもん(と平原さん)しかいないのではないだろうか…ムーランルージュが決まった時は随分他の女優の名前も候補に出たけど、やはり納得のキャスティングで大満足。チケット代についてもこのクオリティと舞台セットと衣装を見れば特に高いとは思わないですよ!!!

 

■8月 宙組公演 ミュージカル・ロマン『大逆転裁判』-新・蘇る真実-脚本・演出/鈴木 圭

→KAATで観劇。

シンプルに面白かった。ゲームはしていないが分かりやすく誰が見ても楽しく軽快なストーリー。裁判のリアクションもコミカルでかわいい。もえこの立ち姿に寄り添うひばりのかわいさも良く、こってぃは常にアイドルめいたキャラデザでかっこよかった。みねり、キヨも重要なポジションで好演、のあんも歌が上手く堂々としていたのが印象的!

 

■8月 星組公演 スペクタクル・ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』 潤色・演出/小池 修一郎

→幸運にも一度観劇、配信で二回鑑賞。パンフレットすら売り切れる大大好評好演。

言葉もない程上手い礼真琴。もう感想もない程上手い。初めて見たサイラモナムールで笑ってしまうほど圧倒された。いつもこの時代で一番歌もダンスも芝居も上手いと思うけど、今回もまた最高値を更新。こんなに何でもできると際限なく周りも要求してしまうし、自己研鑽もすごいのでしょう。。ご健康に気を付けてお過ごしいただきたいですね、、漸くありちゃんという何でもできるスターを従え、せおも本来のキャラや実力を活かせるようになってきた星組新体制が活きていた。くらっち、ほのか、ぴー、ひっとんもそれぞれの個性が出た巧みな芝居と歌声で感動。丁寧すぎるほど慎重に育ててきた極美はこの大試練を良く乗り切ったと思います(何様)。特に気に入ったのは盆が回る中での立膝ありちゃんに縋り付く詩ちゃんのシーン。離れがたい気持ちを感じるサイラモナムール前のケミが物凄く良くて(さすが芝居の月組)これ配信に映らないのは本当にもったいないと思った。休演時の代役も含め素晴らしい公演をありがとうございました。