観劇ブログ(雑記ちゃん)

かなり個人の見解です!

2023年前半の観劇を振り返る(2023/1~3)

見た公演の感想をつらつらとメモです。

 

 

■1月 星組公演 浪漫楽劇『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』─並木陽作「斜陽の国のルスダン」より─ 脚本・演出/生田 大和

→私事ですが初日界隈のSSチケットが露と消えました。本当に残念ですが別日に見れたので良かった…このご時世、複数枚離れた日程で持っていないと不安ですね…。リラの精霊から見た国土の変遷というバレエのような世界観の群舞が挟まる綺麗な絵がいっぱいの悲劇。どうして礼さんはかわいくて献身的で悲しい役がこんなにも似合うのかな…。生田先生の花組リストはあんまりハマらなかったのですがこちらは良作でした。

・全部ギオルギのせい

ジョージアの若き王ギオルギは全方位に向けて優しく思いやりの心を持ち合わせた自己犠牲の精神のカリスマ男だったせいで、アヴァクという信者や過保護に育てた妹、物わかりの良すぎる妻などギオルギの良かれと思ってしたことが尾を引いて後の悲劇につながっていくのが見事でした。忘れがちなのですが自己の強い信念で突っ走っているディミトリとみせかけて、その献身と愛そのものがギオルギの呪縛=自分を唯一人間として認めて苦しみを共に背負ってくれたギオルギ(と妻)の生き方への心酔であることは思い出さなければいけないポイントで、そのために度々ギオルギの幻影が出てきます。名前と宗教を失って祈る神も定まらない空虚なディミトリにとってはただ一人の大人(保護者)であるギオルギの見せた苦悩は鎖となり、年上のルスダンへ単なる恋以上の愛を捧げていたのは…たくさんの選択肢を持てる(結果は一つとはいえ)ルスダンが美しい年下の男に心奪われた重みとは訳が違う…この辺がまた苦しく美しい…。兄の伴侶を無下に扱ったルスダンが、自分が結婚した後家臣に配偶者ディミトリを排除されて因果応報になったり、王冠を捨てて不倫した挙句に失策を重ねて王宮と国民を捨てる…原作の主役であるルスダンにはどこもスカッとするところがないのが結構辛いのですが…ムラでの芝居で最後に詫びるアヴァクへルスダンが今度は伴侶を~と言い放つとこが結構覆水盆に返らずを体現している感じで唯一その場面が好きでした。(東京で観劇時には互いに疲弊した感じが全面で薄まってしまいましたが)

・ディミトリのテリトリー

彼がトビリシ陥落から奪還、ひいては王宮のリラの木にこだわり続けた理由はディミトリの歌にもあるように「どうか覚えていてほしい このリラの花にかけて誓おう 何があろうともぼくだけは 君の味方でいると」の誓いを守り続けるためだったという悲しい展開。ディミトリの自由に動ける範囲は王宮だけで国や民衆ではなくその小さな地だけが彼の故郷だったわけです。彼の魂も最後にそこに行き着いたのも含め切ない。ただ最期にジャラル様が生き方を肯定してくれたこと、ディミトリのことを信じてくれたナサウィーが傍にいたことだけが彼の幸運だったなと思い、生田先生の配役センスに唸りました。

 

 

メガファンタジーJAGUAR BEAT-ジャガービート-』作・演出/齋藤 吉正

→最高。最強。ここ2.3年で見たショーの中で一番パワフルで面白かったです。雪組のセンセーショナルが期の若い子まで個々の力で推し進める感じでこれも良かったのですが、今回は路線スター筆頭に進めるショー。モアダンのようにスターや序列のないショーで溜まっていた鬱憤が晴らされたエキサイティングな構成でした!

・わけのわからない世界観とあらすじ、それがいい

「宇宙空間に浮かぶ名もなき星の荒廃した砂漠ーー。かつて花が咲き、生き物が歌う桃源郷であったその場所は、ブラックパピヨンの首領・マーリン(暁千星、魔法使いで猛獣使い)たちにより侵され、今は生気をなくし、荒れ果てた姿となっていた。宇宙を旅する幻の鳥クリスタルバード(舞空瞳)は、彼らの襲撃により片翼をもがれてしまう。しかしクリスタルバードが恋の担い手クピド(小桜ほのか)の歌により渾身の力で舞うと、荒廃した砂漠に奇跡が起こり、舞台には極彩色の植物、色とりどりの花々が息吹く。そして一つの尊い新たな命が生まれるーーJAGUAR(礼真琴)の誕生である。」

以上あらすじです。訳がわからないと思います。考えるな感じろ。

情報の切れ端だけが記載したパンフレットや歌劇を読んでも理解できない。わずかな情報をもとに少し考えてみます。

この世界は対になっていて多分半身や欠けたものを追い求めるというのがテーマなのかな?クリスタは魔法使いマーリンの策略で片翼をもがれますが(翼は不思議な力を持っていて皆が欲しがっている)クリスタ以外が持つと不幸になる反作用有。クリスタの涙から生まれたジャガー君はクリスタに一目惚れし、一方同時期に生まれたバファロー(瀬央ゆりあ)は多分ジャガーの半身?地の果てまでも追ってきます。ジャガー君はクリスタに片翼を取り戻してあげると誓って探しに行きますが、途中マーリンが仕掛ける機械じかけのサーカスに巻き込まれたりして感情の何たるかを吸収していく大冒険でドタバタ。中詰はアステカ神話のパロ。実はジャガー君やバファロー君達は皆古代神でした!?色々あって、マーリンの過去編。宙を旅するナルキッソス(=過去のマーリン)は実は美の神アフロディーテ有沙瞳)を振って、これまた美しい青年アメイニアス(極美慎)と恋に落ちます。アフロディーテの怒りを買って、彼らの心は石にされます。恋人を失ったマーリンは災い(=愛)として世界を引っ掻き回し、クピド(=恋)に付き纏われながら、失った半身を探しているのです…(急にとってつけたような考察)最後になんやかんやあって、天国で再会したJAGUARとクリスタルバード。白いドレスのデュエダンで幸せエンド。

なるほどわからん。でも超絶楽しい!!!物語関係ないエンディングパートも最強星組集団が全力疾走していて暗転なし電力大爆発のメガ!ファンタジー!でした!

・総評

新星大津先生、そして改めてサイト―先生に感謝!我が推しあかちゃんも大満足な出番をいただき、ファン冥利に尽きました。悔いなく花組に戻ります、、星組の皆さま&星組ファンに温かく迎えていただいたことは忘れません…!!!

 

 

 

■1月 宙組公演 真風涼帆リサイタル『MAKAZE IZM』構成・演出/石田 昌也

→配信にて観劇。大変な騒動の中、まかたんの最期のコンサート堪能しました。本当にお疲れ様でした。誰が何と言おうとこれまでのまかたんの歩みと功績は素晴らしいものです…。石田先生がパンフレットで自分でも言っていたようにFWMと違って真新しい内容もない、特に何ということはない内容ですが、気の毒だったカルトワインの一場面が見れたのは嬉しい誤算。改めて潤花の明るさがファンの心を救ってくれたなと思いました。ありがとうかのちゃん。

 

■1月 宙組公演 バウ・ドリーミング『夢現(ゆめうつつ)の先に』 作・演出/生駒 怜子

→1/16配信にて観劇。この公演2022年度で一番泣きました。

正直、ビジュアルイメージを見た時、封神演義でおなじみフジリュー先生の世界観の要素が強すぎて公演解説も相まってもしや哲学的な話?と多少不安もあったのですが、生駒先生の構想力並びにタカラヅカの形としてどこで帰結させるかどこまでリンクさせないかという潔さのセンスが最高でした。

・一幕と二幕の展開の違い

一幕は僕と彼女の恋愛が主軸。奥手で自信のない主人公こってぃが夢の中で現れる彼(あのん)と共に過ごし、夢の世界の住人と増えるかわいい羊と共に自分を変えようともがく物語。最後に王道のラブストーリーで思わずキャーと叫びたくなる僕のかっこよさ!この子ポテンシャルはあるんです、と謎目線で応援したくなる。ひばりちゃんも文句なしに可憐で素敵な女の子を好演。

二幕は一幕から続く異音や嫌な気配の正体を探りながら、謎めいた彼について今度はベルトや鎖の取れた衣装を着た(=トラウマからの脱却)僕が追いかける話。夢の世界でしか会えない彼は現実では事故で植物状態にあり、病院に何年もいます。かわいくて献身的な羊の一部が現実世界のパパとママであったり、増えていく羊の秘密、無機質なチューブの近未来的な衣装が徐々に血の管が巻き付く見た目の変貌、愛情深いぬいぐるみメロ(泉堂成)の大健闘の芝居がクライマックスへ導き、遂に二人は出会います。ここまで「まだ見ぬ君に会えたなら」の歌唱で何度もリフレインする君は一幕ではヒロインひばりで二幕では友達あのんのことでしょう。最後に僕は扉の前で彼に呼びかけます。陽気で明るい一幕の彼はもうそこにおらず、「現実では歩けないかもしれない!失望させるかもしれない!」と泣きながら訴えます(ここで優しい羊たちは彼の心の安寧秩序のために引き止めますが、メロだけは外に出るのを決死の覚悟で促し…)僕は一幕で彼からもらった勇気を愛と思いやりに変えて気丈に待ち続けることを伝え、メロを抱きしめた彼は勢いよく扉から飛び出して僕と抱き合うのでした…(号泣)これはタカラヅカ版ですからきっと彼の病状はすぐに良くなり、僕とも現実で仲良くできるご都合設定が見えます。そこがいいのです。(外部だったら事故はお互いのトラウマの要因だったり、ヒロインとくっつくのは彼の最期を見届けた後になるかもしれない。そういう残酷さがないだろうと確信づけられるところがヅカのいいところです)

フィナーレパートもデュエダンもセンス良く小綺麗にまとまり、生駒先生の今後に期待大です。

 

■2月 憂国ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.4 -犯人は二人-

→2/12配信観劇。OP1から観劇していますが、今回は配信にて観劇。

一貫して品のあるコンセプトやロンドンのほの暗さを纏わせている照明、ピアノ&ヴァイオリンの生演奏はそのままに天井知らずのおしゃ哲こと鈴木勝吾のストイックな歌唱が(もう少しエンタメ感があってもいいのではないかと思うぐらい)続きます。いつもながらシャーロック・ホームズ平野良と光の主人公兼ヒロインのワトソン鎌苅健太(ココア男から全く変わらない光り輝くオーラ)の芝居のケミが良すぎる…今回はアダム・ホワイトリーの川原一馬くん(久しぶりに見た)と悪役チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンの藤田玲くん(いつも大好き)の熱演も支え、最終局面(?)に向けて準備は整ったという感じ。

 

■2月 DREAM GIRLS

→2/13国際フォーラム観劇。文句なし、とんでもないクオリティの歌唱の嵐。

そもそも映画はディーナ・ジョーンズのビヨンセが美貌を買われてサブからメインに鞍替えし、元々の歌一本で押し出したふくよかなエフィ・ホワイトが諸般の事情で追い出されるという展開ですが、多分知らずに見に行った観客は一幕の主人公がだいもんではないことに驚いていたのが幕間の反応としてウケた。映画よりローレルの出番や恋模様の詳細があったのは意外!saraさん大きいけど上手いね、ファントムも期待。一幕終わりの福原みほさんが上手すぎて(本物の心のある歌唱、技術だけじゃないね…)これを超えるメインの置き場はどのようになるのかと戦々恐々としていたら、ゴージャスで華々しいオーラのドレスアップしただいもん(激痩せ)が出てきて一安心。キャッチ―なスターを有村先生の素敵な衣装が舞台を彩り、セットはシンプルながら盆が回る構成で飽きさせない凄い舞台でした、大満足。

 

 

■2月 キングダム

→2/20帝国劇場にて美弥ちゃん回観劇。帝劇が少年漫画のような題材を取ることも驚きながら、キャストが帝劇らしからぬ人選でクリエではなく…!?と驚きましたが次のスパイファミリーも含め新たな顧客取得にはピッタリ。客層がいつもの帝劇っぽくなくて2.5次元から初めて来たような人もいるのではないか…良い意味で新鮮な感じ。二幕はファミリーミュージカルか?というクオリティのところもあり、子役も含めバラツキが逆に肩ひじ張らずに原作通りに楽しめた(映画版とは少し違う構成なのもGOOD)

 

 

■2月 雪組公演 Musical『BONNIE & CLYDE』 潤色・演出/大野 拓史

→配信にて観劇。見慣れないコンビの紡ぎだす芝居のリズム…この作品はヒロインが勝気すぎるので次のライラックで見極めたいところ。推しのひまりはとってもかわいくてやはり芝居が上手い。雪組は端から端までイケメンすぎますな…。そして大野先生のあらすじの作り方かなり綺麗で見直した。柳生しかり、エログロを排除してタカラヅカの品格に合わせるセンスがいいです。

・つらつらメモ

下級生のまで大活躍。愛陽みちちゃんの長くて上手いソロからスタート。このみさんとてもお綺麗で母親役も素敵。菜乃葉さんスター役で面白い起用。愛空さんがともかちゃん・ありすちゃんと三人娘的な扱い、抜擢だね。夢翔みわさんが少年クライドで歌が上手い。咲城くんは良いポジションながらあまりに芝居の経験が足りていないような気がする、星組でもう少し路線として扱ってから輸出した方が良かった気が…ただ、ダンスは品が良くて雪組っぽい。愛羽さんの女知事も珍しい起用、しかもお上手。かりあんとはいちゃんの役がいつもと逆な感じでそれも新鮮。

 

 

■2月 花組公演 ミュージカル・ロマン『うたかたの恋』 脚本/柴田 侑宏 潤色・演出/小柳 奈穂子

→イープラス貸切観劇。タカラヅカの様式美、古典、ロマンス、教科書のような作品ながら令和の感覚でそぎ落とされた改変もあり、作品としては良かった。咲乃深音ちゃんの歌姫マリンカの純に素晴らしい歌唱力(今回スパイ要素消えてた)を筆頭に、音くり寿が去った後の花娘の実力派が漸く持ち味を出し始めたという印象。ステファニーのうらら、艶やかで華美なメイクが良く研究されてて目を引いたし、芝居も胸に来るドラマティックさだった。凛乃の母親役も独特な言い回しが大好き。ことの、糸ちゃん、すずみさん、みくりん、みこちゃんも健闘。千秋楽配信でみたまどかの謎のメイクも観劇時には修正されていて気にならなかった、どのドレスもかわいく着こなし、ルドルフが病み切った後半はまどかの強さが良い感じに寄り添っていたのが印象的。

 

タカラヅカ・スペクタキュラー『ENCHANTEMENT(アンシャントマン) -華麗なる香水(パルファン)-』作・演出/野口 幸作

→大好きな野口先生のスペクタキュラーシリーズの新作!と期待しまくっていたのがいけないのか、はたまた野口先生のショーには歌えるトップの布陣の方がより良いのか?予想よりトーンが低くて印象に残らない構成だった。多分この前のデリシューで様々なご意見があったところ()を絶対に今回は文句言わせない!とばかりに保守的に作り過ぎている。早く元の野口君に戻ってほしい。

・良かった点

アロマの淑女たちの装い。素晴らしい空気感で盆が回るサイドで寄り添いあう花男と花娘が重そうな衣装で優雅に佇むのは眼福…!そしてオリエンタルの場面の精度の高さ。各スター登場シーンが素晴らしい!!!お馴染みブラックバードの衣装はテンションが上がる!チャイナ服の着こなしも最高!曲のアレンジもかっこいい!

・あまり好きではなかった点

いつもより予算不足?かわいく見せかけてデリシューよりも応用の効かない感じの衣装。恒例ゴンドラがない。市販の有名な香水にインスピレーションを受けて描いた割に、マリリンモンローのとこぐらいしか上手く観客に共有できていない感。銀橋渡っても路線スターの声がとにかく抑え目で小さい(これはマイクの問題かも…?)野口君渾身の歌詞が聞き取れないのはもったいない…。ムスクの場面で歌うまに歌わせずに謎のバックダンサー集団にしたところ。マリンの場面の娘役の衣装や髪形が一つも上品さを感じさせなかった、夏休みの山登りや川遊びする少年少女か…?デリシューでは選りすぐりの美女7人がクリスマスのパリジェンヌを素敵に表現していましたので今回も期待していましたが、、。次回の雪組公演では元の野口スペクタキュラーに戻ってほしい!!!